近所に自殺スポットがある
前職の職場と自宅の間の踏切が酷い。
人身事故多発区域という名の飛び込みスポット。
頻繁に電車が止まるので、出勤時はそれを見越して
2~3本早い時間の電車で行くようにしていました。
始発で出勤の時は流石に少ないけれど、1回だけ
止まってしまってタクシーで行った記憶がある。
早朝はタクシー捕まえるの大変なんだぞ…。
自分がまだ元気だった頃は、わざわざ朝の忙しい
時間帯に飛び込むなんて…なんて迷惑な人だろう。
なんて思ったりしたもんです。
賠償金だって高額になるし、家族も大変だなって
完全に他人事として考えていました。
でも、そんな事を冷静に考えられる精神状態の人は
そもそも飛び込まないですよね…(;´Д`)
去年の秋頃から徐々に病んできた私はキリキリと痛む
胃を押さえ、夜も眠れずフラフラ歩き、通りすがりの
人々に怪訝そうに振り向かれながら毎朝出勤しました。
ホームまでの階段で全体力を使い果たし、立っている
事すら辛くて電車が来るまでホームで蹲る日もあった。
まもなく、電車が参ります…ポーン…ポーン♪
○○時発、○○方面行き…線の内側で…入口付近を開け…
ガーっと電車の走行音が聞こえた時、あと数歩踏み出せば
今日は会社に行かなくて良いのか…と何となく思った。
始発で会社の最寄り駅まで行き、まだ暗い早朝の駅前を
トボトボと会社に向かって歩く時、背後で踏切の音が鳴る。
カーンカーンカーン、カーンカーンカーン…
赤いランプがチカチカと点滅する。一瞬、立ち止まって
何も考えられなくなった頭でボンヤリと踏切を眺める。
カーンカーンカーン…チカチカ、チカチカ…
あれ…なんか、呼んでる…?そっちに行ったら楽になれる?
そんな考えが自然にスルっと出てきた時、通院を決めた。
もう否定できない、私は壊れかけている。病院に行こう。
仕事中でも一人になると涙が止まらない日々、常に痛む胃、
体が鉛の様に重く常に横になりたいと思いながら気力だけで
無理やりに動き、文章や人の言葉が全く頭に入ってこない、
夜は眠れず、僅かな睡眠時間は悪夢に魘され、仕事の合間に
何度も吐く…胃は空っぽなので胃液ばかり。限界でした。
日に日に働かなくなる頭、麻痺する感情。減り続ける体重。
とにかく楽になりたかった。
そして気が付いたんです。朝の通勤ラッシュで飛び込みが
多い意味が。そっか、みんなも同じなんだな。
この時間に呼ばれたんだ。呼ばれて行っちゃったんだって。
あと数歩踏み出せば、もう行かなくて良い。
とっても魅力的な提案に思えたんです。
これから学校や会社に行かなきゃいけないって時間。
きっと、その時間が一番怖くて辛かったんだな。
当たり前のように始まろうとする今日が怖かったんだな。
終わらない悪夢の様に辛い日々が繰り返されていくことが
怖かったんだろうな。
死にたかったんじゃなくて、ただ辛くて逃げたかったんだ。
楽になりたかったんだな、きっと。
だからと言って、大勢の人に迷惑を掛けて良いことには
ならないけれど。
自分がうつ病になって、ちょっと気持ちが分かった気がした。