鬱を食らわば

元うつ病不登校児、アラサーでうつ病再発しました。

濡れぬ先こそ露をも厭え

どうも、うつ病絶賛再発中のkuraです。

 

以前、ブログのタイトル「鬱を食らわば」

元になったのは「毒を食らわば皿まで」という言葉である

というお話をしていますが

 

それと似た意味のことわざを思い出して

 

うつ病を始めて発症した頃の

ある青年との苦い思い出が蘇りました。

 

それを思い出すきっかけになったことわざが、

記事のタイトル「濡れぬ先こそ露をも厭え」になりますが

 

せっかく思い出したのだから、書き留めなくては!

と思い立ち、これを書いています。

 

その人に初めて会ったのは、14歳のとき。

ある人の紹介で知り合いました。

 

当時うつ病重症期で、地獄の底を彷徨っていた私は

恋をする余裕もなかったのですが…

「その人も学生時代は苦労したらしい」という

実にふわっとした情報だけで、それ以外に

何の情報もないまま、その人と会うことになったのです。

 

「とりあえず、話聞いてもらうだけでもいいじゃん」

「相談相手くらいは欲しいでしょ?」

 

初めて彼を見た時の印象は、最悪でした。

 

登場と同時にムワッと咽るほどの香水が漂い

長めの明るい茶髪にチリチリパーマ、毛先遊ばせまくり

ハニワ顔のくせにブルーのカラコン、アクセサリーまみれ

上下ともダボダボの服にチェーンをジャラジャラ言わせていました。

 

うわ、何こいつ…キツ!

 

これが正直な感想ですね(笑)

 

彼、仮にS君としましょう。

「初めまして、Sです!kuraちゃんだよね?話聞いてる、よろしく!」

思いがけず人懐っこい笑顔で挨拶をされ、

話してみると案外いい奴だったりして、連絡先を交換し

たまに会うようになりました。

 

S君は当時19歳。映画館のスタッフとして働いていました。

友達や先輩にも紹介されたりして、皆いかつくてビビったな。

あと、関係ないけど彼の職場の社長が

哀川翔さんにそっくりだったのを覚えています(笑)

 

親しくなっていくにつれて、色んな会話の中で

私は、ある事実に気付いてしまいます。

きっかけは、彼の名字がちょっと珍しいことと

彼の家族についての話を聞いた時。

 

2人のお兄さんに会ったことはありましたが、

会ったことのない彼の父親の話を聞いた時

その人物を知っていることに気が付いたのです。

 

初めて名字を聞いた時、ドキリとしたのを思い出しました。

決して口にはできないけれど、その名前を知っている…。

 

初めてその名前を聞いた時、まだ私は小学生でした。

何気ない世間話の中で、母の口から聞いたのです。

 

それからも時々その名前を口にすることがあり

いつしか私は悟りました。

 

その人が、母の不倫相手であることを。

 

父との夫婦関係が、とっくに破綻していることは

いくら子供でも知っていました。

 

だけど…外に恋人がいるなんて。

母親から垂れ流される女の気配に、虫唾が走りました。

 

家の電話が鳴る時、その人からかかってきたのが

分かるようになりました。

母の反応はもちろん、ご丁寧に分かりやすい合図まで

決めていたようなので。

 

我慢できずに問い詰めると、あっさり認め

「私だって、まだ女でいたいのよ」

と開き直り、実際その方との関係は

私の知る限りでは十数年続いたようです。

 

もちろん相手の男性にも家庭があります。

奥さんと、息子が3人いるとのこと。

そのうち相手の奥さんが病気になり、

数年の闘病の後、亡くなりました。

 

奥さんの闘病中も、2人の関係は続いており

奥さんが亡くなった後は

「もう1人だから、いつでも君を迎えられる」

というようなことを言われたと

母が自慢げに話していたのを覚えています。

 

やってることも最低だけど、

それを娘に平気で話せる神経も信じられない。

 

何だこいつら。頭おかしいのか?

 

しかし私も私で

うつ病の地獄が始まって、それどころじゃなくなりました。

 

そして、S君に出会った。

 

なんだこれ。どういう運命だよ。

 

会うたびに「俺、社会人だから!」と笑顔で

食事を始め全てを奢ってくれるS君

深夜に眠れないとメールすれば、すぐ電話をしてきて

外が明るくなるまで話に付き合ってくれたS君

仕事中だろうが何だろうが、励ましのメールを毎日くれたS君

 

一方で、彼の父親は母との関係を続けながら

平気な顔をして今日も彼の父親を演じている。

 

「俺も辛い時あったから…少しでもkuraの助けになりたい」

 

彼が辛い時、その辛さの原因に私の母親が関係していた。

彼は自分の父親に女の影があることに気付いていた。

相手が誰かを知っているのはあの2人と、私だけ。

 

S君に、会ったこともない男の気配を探し嫌悪している自分。

一方で素直に彼を信頼しようとしている自分。

 

相対する2つの自分に戸惑いました。

まだ14歳だよ、勘弁してよ。

 

彼に触れられると、その体温に親しみを感じながらも

母もまた、彼の父親にこんな風に…と考えて嫌悪してしまう。

 

そして私は最悪の結論をだしてしまったのです。

母に対する復讐に、S君を利用してやる…!

 

正常な人間の思考ではありません。

優しいS君に悪いとも思いました。

でも自分をこれ程に苦しめる母に、何かの形で

仕返しをしてやりたかった。

 

私にも、あの女の血が流れている

ならばいっそ…

 

若干14歳の娘が、19歳の男と夜な夜な遊びまわる。

という状況によって、母を悩ませ、困らせてやろうとしました。

 

当時は既に不登校児だったので

学校にも行かず、夜は彼や彼の友達が車で迎えに来て

私は何も言わずに背伸びした服と化粧で外へ飛び出す。

 

そして朝まで帰らない。

帰ってすぐシャワーを浴び、昼間は部屋に籠る。

家では何も話さず、表情もない。

見るたびに腕や手首の切り傷が増えている。

 

それでも、母は懲りなかった。

だから今度は、明け透けに彼と何処に行ったとか

あのホテルに泊まったなどと話して聞かせました。

 

でも結局は、虚しかっただけ。

母は自分にしか興味がなかったし、

私はどこまでも最低な女になっていた。

 

あぁ、今頃どうしているんだろう。

とうとう自責の念に堪えられなくなって

私からは一切の連絡を絶ち、そのうち携帯も変えて

彼とは会わなくなりました。

 

いつしか母の口からあの名前を聞くこともなくなり

気付けば母に恋人の影は消えていました。

 

具体的にいつ終わったのか、何故そうなったのか

聞くこともしませんでしたが…

 

彼の好意を利用してやろう、と心を決めるまで

あんなにためらったのに

いざ始めてみると、もう後戻りはできないのだと

転がるように落ちていったなぁ。

 

毒を食らわば皿まで

 

濡れぬ先こそ露をも厭え

 

まさに、こんな言葉がピッタリな

私の恥ずべき黒歴史です。お恥ずかしい。

 

何処でも誰とでもいいから、幸せになってて欲しい。

あの時は支えてくれて本当にありがとう、S君!

 

以上、kuraの黒い青春エピソードでした。

ありがとうございました!